本書は、上京する息子に向けて書かれた父親からの手紙です。前半はいつか"成功"することを夢見る青年についての小説、後半は小説を踏まえた息子へのメッセージが書かれています。前半の小説部分は、多くの人の実話をもとに作成されており、主人公は成功したい、幸せになりたいと思って人生をスタートするも、自分でも気づかないうちに「こんなはずではなかった」という人生を送ってしまいます。これが良くできたストーリーになっていて、自分事に感じ、後半のメッセージが沁みます。
著者:喜多川泰
東京生まれ愛媛育ち。大学卒業後、教育者を目指し大手の学習塾に就職。後に独立し1998年横浜に新たな学習塾を立ち上げる。塾生の学習意欲を高めたり人生教訓を教えたりするため、授業の前の時間を使って話をしていたが、ある塾生からそれらの話を本にまとめてみたらどうかといわれたのをきっかけに執筆活動を開始。本書は2009年2月に発売。
常識を疑う
本書では、主人公が知らず知らずのうちに身に付けた常識のせいで、幸せを感じない生活を送ってしまいます。その常識を疑い、自分自身の価値観を身に付けることで、自分の望む人生を送ることができ、幸せになることができます。
「みんながそうしているから」「そう言われているから」「そうしないと変だと思われるから」ではなく、なぜそうするのか一度自分で考えてみましょう。
自分自身の価値観を身に付ける(=成功者の常識を身につける)具体的な方法は、本を読むことです。一日を労働に使うと一万円程度を稼ぐことができますが、読書に投資すれば、成功者が一生をかけて学び得た知恵を自分のものにすることができ、後々多くの金額を稼ぐ可能性があります。また、読書により心を鍛え、幸せに生きる方法を学ぶこともできます。
本当の安定は、自分を変えようと努力している状態のこと
はじめのうちは会社を利用してやろうと思っていても、大きな買い物をしたりローンを組んだりするうちに、徐々に会社からの給料をあてにする期間が長くなってしまいます。この会社からの給料、世間一般的な"安定"をあてにしていると、自分の人生を思い通りにするために、”安定”を得るために自分の人生を使い始め、目的と手段が逆転してしまいます。
安定とは、多額のお金や高給の職業など、何かを手に入れたときに得られるものではありません。自分で自分の人生を切り開こうと努力しているときに初めて得ることができます。この変化が激しい時代において、自分も常に変化していくことが本当の意味での安定です。
よりよい人生になるよう、常に変化を求めていきましょう。
成功する人というのは、やりたいことを始められる人
何かを始めようとするとき、「お金がない」「コネがない」「経験がない」などとできない理由を探してしまいがちです。しかしそれは本当に新しいことを始められない理由なのでしょうか。それらの理由を持っている人は絶対に成功できないのでしょうか。結局は、勇気と頭脳さえあれば何でも始めることができます。
ところが現実問題、やりたいことがあると明言できる人は少ないのではないでしょうか。
まずは、やりたいと感じることはお金を払ってでもやり、自分のやりがいを見つけましょう。自分ができること、知っていることの中で、世の中の人の役に立てるものが見つかります。その時初めて、"自分の人生でやりたいこと"が生まれます。
しかし、お金を払ってでもやりたいことが仕事になるまでには時間がかかります。十分な時間をかけずに自分の人生をかけてやりたいと思えることを見つけることはできません。
色々な経験をし、興味のあることに打ち込んでみましょう。それが生涯をかけた仕事を探すための方法です。
終わりに
本書では、人生で陥りやすい考え方をわかりやすく説明し、それに対するアドバイスが得られます。後悔した人生を送りたくない方は、一度読んでみてはいかがでしょうか。