投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2021の結果が1月22日に発表されました。
このランキングは、投資信託を売る側ではなく買う側の投票で決まるランキングなので、低コストで優秀な投資信託が揃っていて参考になります。
今回は、トップ10にランクインした投資信託を簡単にご紹介したいと思います。
FOY2021結果
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がぶっちぎりで第一位に輝きました!
なんと三連覇です。
トップ10入りした商品は、大きく
- 全世界株式に連動するインデックスファンド(2商品)
- 先進国株式に連動するインデックスファンド(3商品)
- 米国株式に連動するインデックスファンド(3商品)
- その他(2商品)
の4種類です。
全世界株式に連動するファンド
全世界株式に連動する投資信託は2つがランクインしました。
第1位:eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) (通称:オルカン)
第3位:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF (通称:VT)
全世界株式に連動する指標は、
- 大型株を対象としたMSCI All Country World Index
- 小型株~大型株を対象としたFTSE Global All Cap Index
の2つがあります。
オルカンはMSCI All Country World Indexに、VTはFTSE Global All Cap Indexに連動しています。
2つの指標の違いはこちらの記事をご覧ください↓
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全世界株式の2つの指標の違いは?MSCI All Country World IndexとFTSE Global All Cap Index
続きを見る
「全世界株式」と言ってはいるものの、地球上に存在する全ての国を対象としているわけではなく、一定以上の法制度が整っている50ヶ国程度のみが対象です。
「全世界」に含まれているのは「先進国」+「新興国」です。
これ以外にもさらに投資制度の整っていない「フロンティア国」が存在します。
第1位:eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :三菱UFJ国際投信
- 設定日 :2018年10月31日
- 連動する指数:MSCI All Country World Index
- 投資対象 :全世界の大型株
- 投資銘柄数 :2,938銘柄
- 純資産 :3,967億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.1144%
- 信託財産留保額:なし
業界最低水準の低コストを目指して信託報酬を下げ続けてきたeMAXIS Slimシリーズの投資信託です。
全世界の大型株約3,000銘柄に僅か0.1144%の信託報酬で投資ができます。
投資家からの人気は非常に高く、僅か3年で純資産が4,000億円近くになっています。
第3位:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :米バンガード社
- 設定日 :2008年6月26日
- 連動する指数:FTSE Global All Cap Index
- 投資対象 :全世界の小型株~大型株
- 投資銘柄数 :9,364銘柄
- 純資産 :353億米ドル(約4兆円)
- 購入手数料 :あり(一部の証券会社では無料)
- 経費率 :0.08%
- 信託財産留保額:あり
VTは、世界三大運用会社の一つ、米国のバンガード社が運用する米国ETFです。
こちらも全世界の株式に投資をしていますが、オルカンには含まれない小型株・中型株も対象で、銘柄数はなんと9,000銘柄を超えています。
米国ETFのため、経費率は0.08%で驚愕の安さです。
そして純資産額も353億ドル(≒約4兆円)と日本の投資信託とは比べ物にならない規模です。
そんな素晴らしい商品ですが、一方で米国のETFであるため
- 購入は1株(100米ドル程度=約11,000円)単位
- 分配金は自動で再投資されない
- 二重(または三重)に課税される
- 売却手数料が発生する(0.5%程度)
というデメリットもありますのでお気を付けください。
ちなみに、このVTは非常に素晴らしいファンドですが、米国人からはあまり人気がないようです。
その理由は、米国人は米国株に個別で投資しているので、VTを買ってしまうと重複して米国の割合が高くなってしまうからとのこと。
先進国株式
先進国株式に連動する投資信託は3本がランクインしました。
第2位:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
第6位:eMAXIS Slim先進国株式
第9位:たわらノーロード先進国株式
いずれの投資信託も、日本を除く先進国を対象としたMSCI Kokusai Indexに連動しています。
先進国では、株主を重視した経営がされ、投資家を保護する制度が整っています。そのため、企業の成長を株主が享受しやすく、長期投資に適しています。
(新興国はその逆で、経済成長と株式市場の成長が必ずしも連動しません)
日本株を個別投資している人が外国株式の割合を調整できるように「除く日本」の指標が作られました。
決して日本株のパフォーマンスが悪いから外されているわけではありません。決して、、、、
第2位:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :ニッセイ アセットマネジメント
- 設定日 :2013年12月10日
- 連動する指数:MSCIコクサイ・インデックス
- 投資対象 :先進国の大型株(日本を除く)
- 投資銘柄数 :1,282銘柄
- 純資産 :3,755億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.1023%
- 信託財産留保額:なし
2013年に設定された比較的歴史のある投資信託です。
元祖・超低コストインデックスファンドで、能動的に信託報酬を引き下げてきました。
先進国株式だと圧倒的な人気を誇るファンドです。
第6位:eMAXIS Slim先進国株式
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :三菱UFJ国際投信
- 設定日 :2017年2月27日
- 連動する指数:MSCIコクサイ・インデックス
- 投資対象 :先進国の大型株(日本を除く)
- 投資銘柄数 :1,287銘柄
- 純資産 :2,985億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.1023%
- 信託財産留保額:なし
低コストが売りのeMAXIS Slimシリーズの商品です。
第2位のニッセイ外国株式インデックス・ファンドと信託報酬は同じです。
第9位:たわらノーロード先進国株式
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :アセットマネジメントOne
- 設定日 :2015年12月18日
- 連動する指数:MSCIコクサイ・インデックス
- 投資対象 :先進国の大型株(日本を除く)
- 投資銘柄数 :1,284銘柄
- 純資産 :1,440億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.10989%
- 信託財産留保額:なし
運用会社のアセットマネジメントOneは、みずほフィナンシャルグループと第一生命グループが共同出資している会社です。
上記2つのファンドよりも信託報酬が若干高く設定されていますが、誤差と言える範囲で、非常に低いです。
米国株式
絶好調の米国株式に連動する投資信託は3商品がランクインしました。
第4位:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
第8位:楽天・全米株式(楽天VTI)
第10位:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
米国株式を表す指標には、米国を代表する500社を対象とするS&P500や、米国のほぼすべての上場企業を対象とするCRSP US Total Market Indexなどがあります。
詳細はこちらの記事をご参照ください。
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米国株式の3つの指標の違い|S&P500、CRSP US Total Market Index、NASDAQ100
続きを見る
第4位:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :三菱UFJ国際投信
- 設定日 :2018年7月3日
- 連動する指数:S&P500指数
- 投資対象 :米国の大型株
- 投資銘柄数 :505銘柄
- 純資産 :9,488億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.0968%
- 信託財産留保額:なし
低コストが売りのeMAXIS Slimシリーズの商品で、S&P500に連動するよう運用されます。
2018年に設定されたにもかかわらず資産流入が続き、純資産額は1兆円に迫っています。
S&P500は、伝説の投資家・ウォーレンバフェットが自身の遺産の9割はS&P500で運用するよう伝えたということでも有名ですね。
間違いのない商品です。
第8位:楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :楽天投信投資顧問
- 設定日 :2017年9月29日
- 連動する指数:CRSP US Total Market Index
- 投資対象 :米国の小型株~大型株(ほぼすべて)
- 投資銘柄数 :VTI(4,080銘柄)
- 純資産 :4,718億円
- 購入手数料 :なし
- 管理費用 :0.162%(信託報酬含む)
- 信託財産留保額:なし
米国のほぼ全ての銘柄(約4,000銘柄)を対象とするバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(通称「VTI」)という米国ETFに投資する投資信託です。
S&P500とほぼ同じ、あるいは若干良いパフォーマンス残してきた実績があります。
爆発的な成長が期待できる小型株にも投資をしたい方は、S&P500に連動するファンドではなくこちらの商品がおすすめです。
第10位:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :SBIアセットマネジメント
- 設定日 :2021年6月29日
- 連動する指数:CRSP US Total Market Index
- 投資対象 :米国の小型株~大型株(ほぼすべて)
- 投資銘柄数 :VTI(4,080銘柄)
- 純資産 :511億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.0938%
- 信託財産留保額:なし
2021年6月に設定された新しい投資信託です。
楽天VTIと同じく、米国のほぼすべての銘柄を対象とするVTIに投資する投資信託です。
0.1%を下回る破格の信託報酬が設定され、いきなりFOYにランクインしました。
個人的な意見としては、まずは初年度の運用成績をお手並み拝見、といったところでしょうか。
シンプルにVTIに投資するだけなので大きな問題はないと思いますが、、、
その他
インデックスファンド以外では、レバレッジ型の商品とバランス型の商品がランクインしました。
第5位:iFreeレバレッジNASDAQ100
第7位:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
第5位:iFreeレバレッジNASDAQ100
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :大和アセットマネジメント
- 設定日 :2018年10月19日
- 連動する指数:日々の値動きがNASDAQ100指数の2倍
- 投資対象 :米国のIT企業中心・新興企業
- 投資銘柄数 :NASDAQ100 E-MINI(100銘柄)
- 純資産 :2,039億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.99%
- 信託財産留保額:なし
日々のNASDAQ100指数の2倍の値動きをする商品で、レバナスと呼ばれています。
高いパフォーマンスが期待できる反面、リスクが大きい点と信託報酬がインデックスファンドより高い(※アクティブファンドよりは低い)点には注意が必要です。
また、この商品が指数の2倍の値動きをするのはあくまでも1日単位で、長期的に2倍になるとは限りません。
一定の範囲内で上昇と下落を繰り返した場合は、元本が減ってしまうこと(「減価」といいます)など、値動きの特徴をしっかり理解しましょう。
ちなみに、この商品よりも信託報酬を引き下げた(0.77%)「楽天レバレッジNASDAQ-100」が2021年11月に設定されていますよ。
第7位:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
基本情報(2021年12月末時点)
- 運用会社 :セゾン投信
- 設定日 :2007年3月15日
- 連動する指数:米国株(S&P500)、先進国株(MSCIヨーロッパ、MSCIパシフィック)、日本株(MSCIジャパン)、先進国株(MSCIエマージング、米国債、欧州国債、日本国債
- 投資対象 :全世界株式50%:日本+先進国債券50%
- 投資銘柄数 :8つのファンドに投資
- 純資産 :3,034億円
- 購入手数料 :なし
- 信託報酬 :0.59%
- 信託財産留保額:なし
運用するセゾン投信は、クレジットカード発行会社のクレディセゾンと日本郵便が共同出資している独立系の資産運用会社です。
この商品は少し変わっていて全世界株式50%:先進国債券50%となるよう、8つのインデックスファンドを通じて投資をするバランス型の投資信託です。
信託報酬0.59%は、昔は低コストと言われていましたが、いまでは相対的に高くなってしまっています。
バランス型の商品の最大のメリットは、当初決めた資産割合を維持するよう自動で調整(リバランス)してくれることです。
株式が値上がりしたときは株式を売却して債券を購入し、株式が値下がりしたときは債券を売却して株式を購入してくれます。
管理する手間がいらず、感情が入ることなく自動的に売買してくれるのは長期投資する上で心強い味方です。
まとめ
低コストで幅広く分散できるファンドがほとんどでしたね。
金融機関が発表するランキングではなく、こちらのランキングの方がずっと信用できます。
もし迷ったらこのランキングを参考にしてはいかがでしょうか。