米国株式市況を表す代表的な3つの指標の違いについて理解すれば、米国株式に連動する投資信託で悩んでいるあなたもどの商品を選べばよいかわかります。
この記事では、米国株式市況を表す3つの指標
- S&P500
- NASDAQ100
- CRSP US Total Market Index
と米国株式に連動する代表的な投資信託をご紹介します。
各種データは、できるだけ3つの指標を算出する会社のホームページの情報を基に作成しています。
※以降、CRSP US Total Market Indexを「CRSP(クリスプ)」と略します。
米国株式市況を表す3指数の主な違い
まずは3つの指標の基本情報について。
S&P500は、米国市場に上場する企業のうち、厳しい条件をクリアした代表的な500社を対象とする指標です。
米国株式市場における時価総額カバー率は約80%です。
CRSPは、米国市場で投資可能な銘柄のほぼ100%を対象とする指標です。
米国株式市場における時価総額カバー率は当然ながら約100%です。
NASDAQ100は、ナスダック証券取引所に上場する企業のうち、いくつかの条件をクリアした代表的な100社を対象とする指標です。
米国株式市場における時価総額カバー率は約40%です。
はじめに、これら3つの指標の違いを解説します。
- 小型株を含むかどうか
- 業種のバランスは良いか
- 採用条件は厳しいか
違い①:小型株を含むかどうか
一つ目の違いは、小型株を含むかどうかです。
ポイント
- S&P500:小型株は含まない
- CRSP:小型株も含む
- NASDAQ100:小型株は含まない
CRSPは、米国株式市場ほぼ全ての上場企業を対象しているので、小型株も含みます。
一方で、S&P500とNASDAQ100は、時価総額の大きい企業のみを対象としているため、小型株を含んでいません。
違い②:業種のバランスは良いか
2つ目の違いは、業種のバランスは良いかどうかです。
ポイント
- S&P500:バランスはとても良い
- CRSP:バランスは良い(米国市場そのまま)
- NASDAQ100:テクノロジー企業の割合が高い
S&P500の構成銘柄は業種のバランスを加味して決定されます。
そのため、業種ごとの割合は、常に良いバランスが保たれます。
CRSPは、米国株式市場をほぼ全て対象にしているので、米国市場全体と同じ業種バランスです。
大きく偏ることはありません。
NASDAQ100は、テクノロジーセクターに大きく偏っていて、その割合は60%を超えています(2023年6月時点)。
この指数の対象企業が上場するナスダック証券取引所にはGAFAMなど多くのIT企業やハイテク企業が上場していることが理由です。
注意ポイント
ちなみにNASDAQ100には金融セクターが含まれていません。
違い③:採用基準の厳しさ
3つ目の違いは、採用基準は厳しいかどうかです。
ポイント
- S&P500:厳しく、四半期ごとに見直される
- CRSP:条件は上場のみ
- NASDAQ100:いくつか条件はあるが、比較的緩い
S&P500は厳しい採用基準を設けていて、構成銘柄は四半期ごとに見直しが行われます。
以下が基準の一例です。
- 時価総額が82億ドル以上
- 流動性が高い
- 4四半期連続で黒字維持 等
CRSPは、米国株式市場ほぼ全てを対象にしているので、米国に上場していることだけが条件です。
NASDAQ100の採用基準は比較的緩く、資本、時価総額、利益、キャッシュフローなどの基準のうちどれか一つを満たすことが条件です。
積極的な投資で赤字となっている新興企業も含まれる可能性もあります。
代表的な投資信託
代表的な投資信託
それぞれの指数に連動する人気の投資信託をいくつかご紹介します。
メモ
表は、2023年8月25日時点の公開情報を基に、筆者が作成しています。
■S&P500に連動する投資信託
商品名 | 純資産額 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 2兆5,049億円 | 0.09372% |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 1兆639億円 | 0.0938%程度 |
■CRSP US Total Market Indexに連動する投資信託
商品名 | 純資産額 | 信託報酬 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 6,919億円 | 0.132% |
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド | 1,778億円 | 0.0938%程度 |
■NASDAQ100に連動する投資信託
商品名 | 純資産額 | 信託報酬 |
eMAXIS NASDAQ100インデックス | 722億円 | 0.44% |
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 712億円 | 0.495% |
ニッセイNASDAQ100インデックスファンド | 113億円 | 0.2035% |
純資産額は、S&P500 → CRSP → NASDAQ100 の順に大きい(=人気)ことがわかります。
また、信託報酬は S&P500 ≒ CRSP < NASDAQ100 と高くなっています。
対象銘柄上位10社
各指数の構成銘柄上位10社は下表のとおりです。(2023年6月30日時点)
S&P500の構成比率は、公式HPに記載されていなかったので、S&P500に連動する人気の米国ETF「IVV」の情報(2023年8月25日時点)を参考にしました。
顔ぶれはほとんど変わりませんが、銘柄数の違いから構成比率には差があります。
過去のパフォーマンス
3つの指数の推移を、
- 直近5年間
- 過去全期間
でそれぞれ見てみましょう。
直近5年のパフォーマンス
米国株式は、近年はGAFAMなどのIT企業が大きく成長しました。
そのため、直近5年で見るとテクノロジーの割合が大きいNASDAQ100が大きく上昇しています。
S&P500とCRSPはほとんど同じ動きをしています。
ご参考:過去全期間のパフォーマンス
過去全期間の推移は下図の通りです。
指数の計算開始日が異なるのでうまく比較できませんが、超長期で見れば成長を続けている米国株式市場の力強さがよくわかります。
参考
計算開始日
- S&P500:1982年
- CRSP:2010年
- NASDAQ100:1995年
まとめ
米国株式市況を表す3つの指標と米国株式に連動する代表的な投資信託を紹介しました。
S&P500 | CRSP | NASDAQ100 | |
概要 | 米国を代表する500社 | 米国市場全体 | ナスダック証券取引所を代表する100社 |
銘柄数 | 500社 | 約4,000社 | 100社 |
時価総額カバー率 | 約80% | 約100% | 約40% |
小型株 | × | 含む | × |
業種ごとの割合 | とても良い | 良い | テクノロジー高め |
採用基準 | 厳しく、四半期ごとに見直される | 「上場」のみ | 比較的緩い |
代表的な投資信託 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) SBI・V・S&P500インデックス・ファンド |
楽天・全米株式インデックス・ファンド SBI・V・S&P500インデックス・ファンド |
eMAXIS NASDAQ100インデックス iFreeNEXT NASDAQ100インデックス ニッセイNASDAQ100インデックスファンド |
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